【仏名会】

仏名会というのは、今年一年の罪業を懺悔して、仏の利益にあずかることを願って、毎年12月、日を期して「仏名経」を読誦し、あるいは、過去、現在、未来の仏名を唱えて礼拝する法会をいいます。

中には「三千仏名会」といって、三千礼拝を修するところさえあります。

古く中国に興り、日本でも奈良朝以降、各宗で行われる伝統的な行事の一つですが、特に京都嵯峨の清涼寺の「三千仏名会」が名高く、私も大学院生の時代、当時、清涼寺住職であり、恩師でもある塚本善隆博士の下で、貴重な経験をさせていただいたことが、今も懐かしく思い出されます。

師走の声を聞くと、冬の寒さ厳しい信州の家々は、越冬の用意で多忙になります。神棚から天井まで煤払、大掃除が行われます。煤払いは、家の掃除、仏名会は心の掃除といわれる所以です。

堂童子行事における仏名会は、如来御越年の七日前と定められており、今年は12月9日にあたります。
午後6時、中衆一同堂童子宅に集まり、仏間の床には仲間に伝わる庚申像の掛軸をかけて法会を営みます。堂童子はこの夜から御越年の日まで、善光寺本堂に夜籠もりをして、朝晩「看経」(*1)します。


法会差定(さじょう)

三礼、開経偈、仏説阿弥陀経、広開偈、十念、摂益偈、念仏、総回向偈、十念、総願偈、三礼

以上。

(*1)看経

正法眼蔵『看経』「あるいは経巻を開いて文字をみるのみなり、句読におよばず看経するのみなり」
経文を静かなところで黙って読む(黙読)。
僧堂、仏殿などで、経文を読誦(低い声で読む)。
諷経(ふぎん−声をそろえて経文を読む)に対する語であったのが、後に読経・諷経・看経とも同義となる。また、経典を研究するために読む意味にも用いられる。


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