善光寺びんずるまわしと福しゃもじの由来

善光寺には昔からの行事が今もいろいろと伝えられていますが、「びんずるまわし」もその一つです。その主役は、ご本堂の外陣入口中央に安置されて、全国から見える多くの参拝者を迎えておられる「びんずるさま」です。



「びんずるさま」は実在の人と申しても、今から2,500年も前の事ですが、佛教を開かれたお釈迦様が80才の生涯を閉じられようとされた時に、その枕辺にいてお釈迦様最後の教えを聞かれた16人の弟子(16羅漢)の一人です。この時お釈迦様は「私が死んだ後、56億7千万年経って弥勒菩薩がお出ましになる間、お前たちが仏法を護って民衆のために御利益を施すように」と遺言されたという事です。


これを聴いたびんずるさまや弟子達の悲しみは大変なもので、「諦泣すること小児の如し」と経典にあるように、オウオウと声を上げて子どものように泣いたと言うことです。「びんずるさま」は仏法を護り如来さまの御利益を施すために、この世にお出ましになった仏様です。


また、「びんずるさま」は神通力に優れていたことから、「なで仏」とも呼ばれて、お像をなでることによって病などの苦しみ悩みを癒し、その救いは天上の月が全ての湖水や水辺に美しい影を映すのと同じように、全ての人々に注いでくださると伝えられています。


それらは、結局びんずるさまの救いは遠くの彼方に探すのではなく、自分自身の中に見つけながら、世のため、人のために生きる心がけの大切さを教えているようにも思います。


善光寺のおびんずるさまは幾百年もの間なでられ通されて、今はお顔など平たくスリ減っておられます。そのお姿を拝見するにつけ、いかに多くの人々の願いが込められたお像であるかに深い思いが寄せられます。


「びんづるまわし」は毎年正月、7日早朝3時から行われる善光寺年中行事最大の法会「七草会」の前夜にあたる6日夜7時から行われます。当夜は読経に続いて、しめ縄のはちまきを締めたびんずるさまのお像が、堂番に抱かれてワッショイワッショイのかけ声と共に大勢の参詣者によって堂内を5回引きまわされますが、その後で、今年の七福招来・無病息災を願って「堂童子」から「福しゃもじ」が授けられます。

参拝者にひかれるびんずるさま

福しゃもじを授かる参拝者


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