善光寺周辺の四季

2004年7月

「境内の松が無残」
数年前から、境内や一山の松が弱り始め、対策も講じぬまま放置され、被害が広がってしまいました。昨年来、御開帳参拝者、樹木医など多くの方々から指摘されて、漸く「マツモグリカイガラムシ」によることと判りました。

松は「松樹千年のみどり」「古松 般若を談ずる」とか、寺の境内には欠かせない存在です。

また、善光寺には「全国から祖先の霊が如来様をしたって、境内の松の枝などにあつまる」という伝承があります。今、樹齢数百年を経て見事な枝を張っていた老松がかわいそうな姿をさらしております。

信濃毎日新聞より
信濃毎日新聞より
信濃毎日新聞より
長野市民新聞より
信濃毎日新聞より
マツモグリカイガラムシ(Matsucoccus matsumurae)
寄生樹種としてアカマツ・クロマツ・リュウキュウマツ・馬尾松やその他,数種の外国産マツがある。日本では東北地方から九州まで分布している。
 マツ造林地における被害は局所的に大発生する場合もあるが,発生は少ない。一方,庭園や公園などのマツへの寄生は,普通にみられるが,被害としては微害の場合が多い。しかし,部分的な枝枯れや枝の下垂などによる樹形の悪化や衰退などがあり,注意を要する。
 本種は年2回発生する。成虫の出現は春世代では、4月中旬から5月上旬まで、秋世代では9月下旬から10月中旬までである。特殊な生態をもつカイガラムシである。
 卵は長楕円形で,色は淡黄色または淡紅色,ふ化直前には淡褐色になる。卵期間は約2週間。1齢幼虫は有脚で,針葉の基部,枝の表皮の割れ目,幹の粗皮下の内樹皮の露出している部分などに定着する。定着すると褐色になり,頭部・胸部が肥大し,扁平な西洋梨型となる。雌中間齢(2齢),雄2齢幼虫と呼び名が異なるが,形態はほとんど同じである。この時期は無脚であり,長い口吻と気門のみである。口吻をマツの組織に差し込んで吸汁し,成熟するにつれて球形に近づく。成熟したものは雌は2mm前後,雄は1mm前後である。色は褐色。雌は中間齢を経て成虫になる。雌成虫は無翅であるが,強い脚があり,大きさは3〜4mm,色は褐色である。交尾後すぐに白い綿状の卵嚢を形成する。卵嚢の大きさは3.5mm前後で,産卵数はおよそ250粒である。雄は2齢から有脚の3齢幼虫となり、蛹を経て有翅の成虫になる。雄はさらに繭をつくる。繭の形成は粗皮の下,側枝の分枝点など直射日光のあたらないところに集中している。

防除法はスミチオンやジメトエートなどの乳剤(1,000倍液)散布はいずれも顕著な効果がある。防除適期は春世代の1齢幼虫出現時期の4月頃がよい。

最近の写真 平成16年5月 平成16年6月
平成16年3月 平成16年2月 平成16年1月 平成15年12月