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槍穂の肩に現れたブロッケン(6日午後5時過ぎ)
『善光寺如来様(一光三尊像)の御姿のよう!』
とうとう槍ヶ岳に登りました。
槍ヶ岳(3,180m)は、わが国第4位の高さを誇る霊峰。
文政11年(1826)、播隆上人(1786〜1840 浄土宗の念仏行者)によって開山。
《山頂に仏像3体を安置し、後の登山者のために山頂にいたる岩場に鉄の鎖(善の綱)をかける》
穂先が鋭く天をさし、小槍・孫槍・曾孫槍などの尖峰が付随する美しい山容は、北アルプスのシンボルであり、日本のマッターホルンと呼ばれる。

同行36人
代表
荻須真教上人(玄向寺 浄土宗)
先達 大澤法我上人(法蔵寺 浄土宗)
1班班長 西牧恒男様
2班班長 牧羽 勲様
3班班長 羽田芳隆上人
4班班長 荒川明英上人
5班班長 小澤秀真上人
槍ヶ岳登山地図
(昭文社『槍ヶ岳・穂高岳』)
7時結団式-松本駅前
槍ヶ岳開山播隆上人像
代表 荻須真教上人
徳沢付近で-家内
徳沢付近で-私
焼岳
梓川遠望
槍沢ロッジで穂刈さんと
槍沢ロッジ着でホッと
槍沢ロッジ〜槍ヶ岳を望
6日、7時に槍沢ロッジを出発し、大曲で、昨年11月殺生小屋を閉めて下山中を襲った雪崩で亡くなられた3人の御霊の供養を終えた9時頃から雨となり、20メートル近くの強風にあおられ、強風雨の中、岩屑道のジグザグ急登では、かなりのダメージを受け、最後尾やっとの思いで槍の肩槍ヶ岳山荘に着きました。(尤も家内は元気良く、喜々として急坂を這い登るように遙か先方を行きました)山荘前の重いベンチもひっくり返るような山嵐を目の当たりにして、音を立てて荒れ狂う高山の恐ろしさを体験いたしました。
ババ平付近で
槍沢に添って登る1
槍沢に添って登る2
槍沢に添って登る3
槍沢に添って登る
大曲手前雪渓
遭難者慰霊法要
槍ヶ岳山荘の嵐
(PM3時頃 風速17m)
ところが、夕食が済んだ5時過ぎになって、嵐は急速に静まり、勢いよく飛んでゆく雲の中にそれは美しい夕焼けとブロッケン現象が現れました。
『七色の虹の光輪の輝きが一段と鮮やかになったとき、阿弥陀如来が現れた』と播隆上人伝にありますが、善光寺如来様とお姿を同じくする一光三尊像を間近にして、身の震える思いで雲海に向けたデジカメの一枚をご覧頂ければと思います。
夜は、皎々と照らす月光に輝く槍の穂先、大接近の火星が月の左脇下に紅色の輝きを見せて神々しく、時空を超え播隆上人開山への尊敬の念とともに、祈りの山の山懐に立つ事のできた幸運に感謝する事一入の思いでした。
ブロッケン1
ブロッケン2
ブロッケン3
ブロッケン4
ブロッケン5
夕焼け1
夕焼け2
夕焼け3
翌7日、快晴の朝ご来光を拝んで頂上へ、「善の綱」(鉄鎖)に命を託しながら、夢に見たあこがれの槍ヶ岳の穂先に立って法要、雲海の向こうに見える360度の雄大な山並みの素晴らしい眺めを満喫いたしました。
 『槍ヶ岳 穂先に人の登りなば
   すえのみのりや 成就なるらん』 播隆上人
それからは下山、播隆屈で整備のお手伝いと法要を済ませてから、ひたすら上高地を目指して歩き通し、よれよれになって午後5時30分にやっとたどり着きました。今も腿の張りをいたわりながら、余韻に浸っております。

平成15年9月10日 

ご来光1
ご来光2
夜明けの祈り
山頂にアタック
山頂での別時法要
荻須上人と
山頂から1
山頂から2
下山岩屑道で1
下山岩屑道で2
下山岩屑道で3
播隆屈から荒川4班班長様と

◎ 表題の「槍ヶ岳開山播隆上人追慕登山」は、今年10回目になるとのことです。初めて参加した私たち夫婦は、代表、播隆上人ゆかりの寺 玄向寺住職 荻須真教上人の心温まるお誘いを受け、先達、平成の播隆上人と崇められる豊科町法蔵寺住職 大澤法我 上人をはじめ、ベテラン、大学山岳部経験の若住職等、槍ヶ岳を知り尽くしたリーダー、ご同行36人の皆様方に助けられ、大曲からの急坂では、コメツガザクラ、ハクサンコザクラ、ミヤマリンドウ、クガイソウ、ミヤマトリカブト、オヤマリンドウ、オタカラコウ、アキノキリンソウ、ダイニチアザミ等、高山の花々が嵐の中を誇り高く咲く美しさにも励まされての登山でした。

1日目の宿泊地、槍沢ロッジでは、槍ヶ岳のパイオニア穂刈貞雄さん自らのお出迎えとお見送りを受けて大感激。前夜祭では、播隆上人は穂高岳開山にも拘 わったなどのお話を興味深くお聞きしました。また、参加者最高齢(78才)の今村博さんからは、播隆上人の詩に詩吟の節をつけて教えていただきました。

2日目夕食後、槍ヶ岳山荘ホールで催された「第25回 播隆祭」で、槍ヶ岳を愛し40年以上も登り続けておられる「槍ヶ岳のマドンナ」土橋茂子さんが、自ら作詞作曲された「槍ヶ岳の歌」を、ご自身キーボードを弾きながら披露。強風雨で足止めされていた人もあわせて、ホールを埋めた200人余りの大合唱や抽選会で大いに盛り上がりました。

この後、偶然に山荘の外で土橋さんにお会いして、「私は、今までこんな素晴らしい夜の槍穂先を見たことがありません」とのお話をお伺いでき、恵まれた登山に参加させていただいた出会に改めて深く感謝する思いです。

◎ この催し「槍ヶ岳開山播隆上人追慕登山」は、播隆祭にあわせて毎年9月第1金曜日に実施されるとのことです。槍ヶ岳登山に関心のある方には、是非おすすめしたい企画ですので、下記へお尋ねになっては如何ですか。住職はもちろん奥様、若住職からも懇切なお話が聞けると思います。

松本市大村681 玄向寺  住職  荻須真教 師 〒390-0304  TEL 0263-46-1393
◎ 前記の土橋茂子さんの詞曲「槍ヶ岳の歌」及び今村博さんの詩吟「槍ヶ岳」をご紹介しておきます。

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